2021.05.18 久しぶりの活動日でした

5月に入ったころから、柏尾川の川岸で、高嶋橋から下流に100mほど下った右岸に、ジャコウアゲハが舞っているのを観察できます。

雄の翅色はビロードのような光沢のある黒色で、雌の翅色は明るい褐色です。

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ジャコウアゲハ(麝香鳳蝶)は、雄成虫が腹端から麝香のような匂いをさせることがその名の由来とのことです。

因みに、麝香とは、雄のジャコウジカの腹部にある香嚢(ジャコウ腺)から得られる分泌物を乾燥した香料です。

ジャコウアゲハは、絶滅危惧種ではありませんが、1980年代には著しく個体数が減少したことから各地で保全活動が行われている蝶です。

生息地としては、ジャコウアゲハの幼虫が食べるウマノスズクサ(馬の鈴草:名前は、葉が馬の顔の形に、花の形が馬の首に掛ける鈴に似ていることに由来)が育つ環境が必要で、柏尾川のこの場所にもこの草があります。このウマノスズクサも近年減少しているようで、柏尾川を管理している土木事務所がこの周辺の下草刈りを数年前から規制し、保全環境の維持に努めています。

なお、ウマノスズクサ類は、毒性成分を含み、ジャコウアゲハは幼虫時代にその葉を食べることによって、体内に毒を蓄積し、この毒は一生を通して体内に残るため、ジャコウアゲハを食べた鳥などが中毒をおこし、捕食したものを殆ど吐き出してしまいます。一度ジャコウアゲハを食べて中毒を経験した鳥は、ジャコウアゲハを捕食しなくなります。ジャコウアゲハの強かな生き残り戦略です。

これからはウマノスズクサを食べている幼虫も観察できるでしょう。

秋には黄色い殻のサナギも観察できます。

ジャコウアゲハは、春から夏にかけて、日中に活動しますので、柏尾川の川岸を散策するときに、妖しくゆるやかに羽ばたき、スイーッとすべるように飛ぶこの蝶を観察してみてください。